完璧を求めないで!完全母乳へのこだわりは誰のためのもの?

悩みを持っていたのは私も同じ

母乳うちの母は母乳がそれこそ飛び出るように出たという人、姉も、あまりにも出過ぎて捨てていたくらいだという人、という事は私も母乳は出るものだと高をくくっていたのです。
でもいざ出産してみたらなんとまあ出ない……あの黄色く濃い初乳こそ「ちょび」と出たのですが、その後が出ない、うちの母も姉も、まだうまくすえない生まれたばかりの赤ちゃんがむせるほどに出たというのに、口あんぐり状態の二人を見ながら、正直私が一番あせっていたでしょう。

お母さんとお姉さんがそんなに出た人なら、ちょっとマッサージして貫通?すれば一杯出るようになりますよと、その病院で通称「乳モミ婆」と呼ばれていた助産師さんがいっていたのですが、うなるほど痛いおっぱいマッサージを受けても、温めても何をしても、ハリが来ない……つまり、母乳が出る気配がないのです。
吸わせれば出るようになると吸わせていたのですが、お腹が減って大泣きするわが子を見ると情けなくてほろほろと涙が一杯こぼれました。
でもミルクはいや!という固定観念が植えつけられていた私は、娘に本当にひもじい思いをさせてしまうのです。

完全母乳が当たり前だと思っていた

断乳の苦しさを知る事もなく、おっぱいがはって眠れないという事も知らずに育児が出来た私は、こうした苦しさを知るママたちからするとうらやましいといわれた事も、本音だったんだろうなと今ならわかります。
でも当時、こういう事をいわれると悔しくて、情けなくて、産後の精神的不安定もあってボロボロになっていました。

母も姉も完全母乳だったので、母乳を赤ちゃんにあげることが当たり前で、それが出来ないことだってあるという事をこれっぽっちも考えていなかったのです。

助産師さんの指導もおっぱいマッサージも地獄だった

授乳室に行くと助産師さんが指導している方もいるし、おっぱいマッサージを受けているママもいます。
次第に、他のママたちはうまくおっぱいをあげられるようになり、おっぱいマッサージを受けているママも、「わー出たー!」と喜びの声をあげているのに、私はマッサージをしてもおっぱいが張らないし、少しも出ない状態です。
産後はホルモンバランスが乱れた状態ですから心が不安定、しかも寝不足、お産で体力もない状態、そこにもってきて出ると思っていた母乳が一滴も出ない、気の毒な私の娘は、お腹がペコペコな状態で出ないおっぱいをくわえさせられていたのでした。

母の一声で目が覚めた

退院してからも一向に体重は増えない、お腹がすいているからとにかく泣く、おっぱいをくわえさせる、でも出ないから結局ミルクを作る、この繰り返しでした。
娘はおっぱいを長時間吸い続けていたので、ミルクを作ってあげるころには疲れてしまい、飲みながら寝てしまいます。
すると短い時間でお腹がすいたと泣く、またおっぱいをくわえさせる、出ない、頑張ってみるけど出ないからミルクを作って飲ませる、寝てしまう、そして短い時間で泣き始める……この状態を見て、うちの母、怒りました。

「キャリーの自己満足で育児をするんじゃない!一番先に考えるのは赤ちゃんの健康だ」と。
疲労してミルクを飲んでも疲れて寝てしまう娘は、体重も増えず、本当にかわいそうな状態だったのに、母乳じゃなくちゃ私はママになれないと勝手に思い込んでいたんです。
何をしても出ないものは出ない、そういう人もいる!ミルクは栄養素がバランスよく作られているし、不安になる事なんてない、それよりもお腹をずっと空かせているこの子の方がかわいそうだ!とものすごく怒られました。

誰でも母乳が出るようになるから頑張ろうは捨ててほしい

母乳が出ない時、助産師さんは「母乳が全く出ない人はいないから、頑張っていればいつか出るようになる」といいます。
でもどんなに頑張っても出ないものは出ないんです。
母乳の量が足りないママにも、ミルクを少なくできるように、母乳育児を頑張ってなんていいます。
これって必要ですか?

もちろん、助産師さんたちがいう事もわかります。
母や姉から、母乳は楽、経済的にもいいし、何より子供が丈夫に育ったなど、いわれ続けてきたのですから、母乳のよさは十分以上といっていいほど理解しています。

母乳が出ない人もいるから、無理せず、疲れない程度にしようね、ミルクを足しても全然大丈夫だよと、だれか一人いってくれたら……ママたちはとても楽になるのです。
ママたちも、出ないからママじゃないとか、おっぱいが出ないなんて女性として最悪だとか思わないでください。

10か月間という長い間、命をお腹で大切に守ってきたこと、栄養を送り続けてきたこと、命を懸けた出産をしたこと、愛しいわが子を世に送り出すことができたこと、これは、あなたにしかできないことです。
妊娠、出産を経験する事で、女性は絶対にママなんです。